太陽光発電と税金(1)

Pocket

こんにちは
サクセス会計 税理士の樋山博一です。

一般家庭での電力自由化開始から半年が経過し、個人法人を問わず、太陽光設備による売電が話題になっています。弊社のお客様も数件、導入しておられます

では、太陽光設備の売電収入に対し、どういう税金が課税されるか、また、どういう税制上の優遇策や節税策があるかを、今回から3回に分けて紹介したいと思います。

一回目は、どういう税金が課税されるのかについてですが、法人と個人の場合に分けて考えます。

まず、法人として売電事業を行う場合、つまり、法人名義の土地や建物に、売電設備を設置して事業を行う場合は、売電の収入金額が、その法人の収入として認識され、売電事業が主たる事業である法人の場合には「売上」、それ以外の法人の場合には「雑収入」として処理することになります。要するに、法人の利益になり、それに対して法人税や住民税、事業税が課税されるわけです。

次に個人の場合ですが、こちらの方が区分は複雑です。個人の場合、売電設備の「規模」によって、課税方法が異なります
大きく分けると、以下の3つに区分されます

(1)自宅の屋根に設置する場合
発電した電力を自家使用し、余剰電力を売却する場合です。この場合は、所得税法上『雑所得』になります。

(2)賃貸不動産に設置する場合
すでに貸付けしている不動産がある場合や、これから貸付けを予定している不動産に設置する場合です。この場合は、所得税法上『不動産所得』になります。

(3)事業として行っている場合
上記(1)(2)以外の場合がこれにあたります。しかし、「事業として」が、具体的にどういう場合を指すのかが問題になります。これについては、目安として以下の点を考慮して考えます。

〇出力50KW以上の設備
〇出力50KW未満の場合で、設備の周囲にフェンス等をしている場合、設備の周囲の除草や除雪等の維持管理をしている場合、賃借した土地や建物に設備を設置した場合

上記の場合は、事業規模で行っている売電事業として、所得税法上『事業所得』になり、それ以外は、やはり『雑所得』になります。

さて、なぜ『事業所得』か『雑所得』かが問題になるかですが、『事業所得』にしか認められていない特典がたくさんあるからです

詳細は、次回詳しく紹介しますが、一番大きな違いは、『雑所得』は損益通算ができないという点です
損益通算何じゃそらって感じですね

例えば、給料収入がある方が売電事業行い、初年度は設備投資が嵩み、売電事業が赤字だった場合、『事業所得』であれば、その赤字が給料の収入と通算され、結果的に、給与から源泉されている所得税が還付されるのですしかし、『雑所得』の場合は、そんな特典はありません

逆に『雑所得』の場合、給与や年金以外に収入がなく、売電収入から経費を引いた差額(所得)が20万円以下の場合、確定申告の必要はりません

次回は、事業所得の特典や節税策について紹介したいと思います。

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

にほんブログ村 士業ブログ 税理士へ
にほんブログ村


経理・会計・税金 ブログランキングへ

Pocket

贈与税の特例その(5)

Pocket

 

こんにちは
サクセス会計 税理士の樋山博一です。

今回は、昨年平成27年度税制改正で創設された『結婚資金等の一括贈与の非課税制度の特例』について紹介します。

これは、父母や祖父母などの直系尊属から、「結婚・出産・育児資金を一括で贈与」された場合、最高1,000万円まで贈与税が非課税になるという制度です。

手続きや流れは、以前このブログで紹介した「教育資金の一括贈与の非課税特例」(『贈与税の特例その(3)』https://success-a.com/blog/tax-system/124/をご参照下さい)同様です。

金融機関に子や孫名義の拠出口座を開設し、その金融機関を経由して、税務署に「非課税申告書」を提出することにより、贈与税が非課税になり、領収証などの支払った証明になる書類を、その金融機関に提出して、資金の払出しを受けます。

しかし、教育資金の一括贈与と異なる点、そして一番の注意点があります

子や孫の口座に資金を移して贈与した後、贈与した父母や祖父母が亡くなった場合、口座に残っているまだ使っていない残金は、亡くなった方の財産となり、相続税の対象になります

教育資金の一括贈与の場合は、贈与された時点で、子や孫のものになり、相続税が課されることはありません

これは要注意ですね~
教育資金の一括贈与制度と違い、この結婚資金等の一括贈与制度は『相続税対策』にはならないということです

【その他の要件】
〇贈与を受ける子や孫の年齢  20歳以上50歳未満
〇贈与の期間 平成27年4月1日~平成31年3月31日
〇贈与の目的 結婚資金・子育て資金
(例)挙式費用、新居の住居費、引越費用、不妊治療費、出産費用、産後ケア費用、子供の医療費、子供の保育費
〇非課税限度額 贈与を受ける子や孫一人につき 1,000万円(結婚関係費用は300万円まで
〇口座の契約終了事由 贈与を受ける子や孫が50歳に達した場合
〇契約終了時の残額 使い残しがあれば、その残金に贈与税が課税

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

にほんブログ村 士業ブログ 税理士へ
にほんブログ村


経理・会計・税金 ブログランキングへ

Pocket

106万円にも壁ができる!?

Pocket

 

こんにちは
サクセス会計 税理士の樋山博一です。

今回は、以前紹介した扶養関連の『壁シリーズ』の続編として、来月10月以降新たに現れる『106万円の壁』を紹介します。

まず、以前紹介した「3つの壁」をおさらいしておきます
詳細は、以前のブログを参照ください。

〇103万円の壁 https://success-a.com/blog/tax-system/136/
〇130万円の壁 https://success-a.com/blog/tax-system/146/
〇141万円の壁 https://success-a.com/blog/tax-system/153/

さて、今回新たに導入される『106万円の壁』ですが、この壁は、社会保険関連の壁になります

現在、パートやアルバイトなどの非正規労働者の方は、「1か月の所定労働日数」と「週の所定労働時間数」が、正社員の3/4以上の場合、その勤務先で社会保険に加入する義務があります

従って、通常週40時間勤務の会社がほとんどですので、その3/4以上、つまり『週30時間以上』勤務する場合に、勤務先で社会保険に加入しなければなりません

また、社会保険に加入している配偶者や親族の「扶養扱い」(年金保険料も健康保険料も払う義務がない状態)になるためには、年収が130万円未満であることが要件のため、勤務先での年収が130万円を超える場合にも、たとえ週30時間未満の勤務でも、勤務先でご自身が社会保険に加入する必要があります(130万円の壁)。

しかし、平成28年10月から、この規定が少し改正され、以下の全てにあてはまる場合、非正規労働者も社会保険に加入する義務が生じます

〇週の所定労働時間が20時間以上
〇年収106万円以上
〇月収88,000円以上
〇雇用期間1年以上

ただし、平成31年までの経過措置として、従業員数500名以下の法人については、適用されないことになっています

このように、『年収106万円』以上が、10月以降の社会保険上の扶養判定になるため、新たな『106万円の壁』となるわけです

ただ、この改正について、一面では、上記のような「扶養問題」になりますが、他方、今まで社会保険に加入できなかった、誰の扶養でもない、大多数の非正規労働者の方にとっては、厚生年金に加入でき、健康保険も含め会社が半額負担する「社会保険」に加入できるようになる
というメリットもあるわけです

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

にほんブログ村 士業ブログ 税理士へ
にほんブログ村


経理・会計・税金 ブログランキングへ

Pocket

年金収入と扶養控除

Pocket

 


こんにちは
サクセス会計 税理士の樋山博一です。

前回までは、103万や130万そして141万と、給与の収入金額と扶養の関係について紹介してきました。
今回は、これもお客様からよくご質問のある『年金収入と扶養控除』の関係について、ご紹介したいと思います。

今回も数字が2つ出てきます「108万」と「158万」です

この数字は、おじいちゃんやおばあちゃんの国民年金や厚生年金が、年間いくらまでなら所得税が課税されないか?そして扶養家族にできるか?の数字になります

ズバリ!
年末12月31日現在で、満65歳未満の方⇒108万  満65歳以上の方⇒158万になります。

この金額には、遺族年金の金額は含まなくて構いません。遺族年金は、もともと所得税が課税されません

給与のときは、年齢に関係なく103万円でしたね

ただし、この数字は、税金計算上の数字ですので、会社社会保険上の健康保険の扶養になれるかどうかの判定は、前々回にご紹介した130万円になりますので、注意してください

ですから、この金額以下の年金を受給している、おじいちゃんやおばあちゃんと同居していたり、仕送りなどで扶養している場合には、「扶養に入れる」ことができるわけです

ちょっとした節税になるかもしれませんので、ご自身に当てはめてみてください

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

にほんブログ村 士業ブログ 税理士へ
にほんブログ村


経理・会計・税金 ブログランキングへ

Pocket

141万円の最後の壁!

Pocket

 

こんにちは
サクセス会計 税理士の樋山博一です。

今回ご紹介する「扶養の壁」シリーズの最後『141万円の壁』は、前々回の「103万円の壁」に関連する壁で、所得税の『配偶者特別控除』を受けるための年収制限を表すものです。ですから、この壁のお話は、配偶者以外の扶養家族(お子様やお父様・お母様)については関係ありません。

今朝の朝刊によると、政府税制調査会において、「配偶者控除」の廃止と「夫婦控除」の創設が、いよいよ本格的に議論されるようです。

2018年度以降「配偶者控除」が廃止された場合、今回ご紹介する『配偶者特別控除』がどうなるかはまだ分かりません。

では、『配偶者特別控除』とは何でしょうか

「103万円の壁」にあった、今後廃止が検討されている「配偶所控除」とは違いますので、注意して下さい!!

「103万円の壁」でご説明しましたとおり、配偶者のパートやアルバイトの収入が103万円を超えますと、所得税計算上、配偶者控除は適用できません。これを俗に、「扶養にできない」「扶養に入れない」と呼んだりします。

しかし、他の扶養家族と違い、配偶者の場合のみ特別に、配偶者控除を適用できない(扶養にできない)場合でも、配偶者の年収に応じて、一定の控除が適用できる仕組みになっています。これを、『配偶者特別控除』と言います

具体的な控除額は、下記のようになっています。

≪配偶者特別控除≫
配偶者の給与収入     配偶者特別控除
103万円超  105万円未満   38万円
105万円以上110万円未満   36万円
110万円以上115万円未満   31万円
115万円以上120万円未満   26万円
120万円以上125万円未満   21万円
125万円以上130万円未満   16万円
130万円以上135万円未満   11万円
135万円以上140万円未満     6万円
140万円以上141万円未満      3万円

このように、配偶者の給与収入が141万円を超えると、控除額がゼロになる仕組みです。

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

にほんブログ村 士業ブログ 税理士へ
にほんブログ村


経理・会計・税金 ブログランキングへ

Pocket