贈与税の特例その(5)

Pocket

 

こんにちは
サクセス会計 税理士の樋山博一です。

今回は、昨年平成27年度税制改正で創設された『結婚資金等の一括贈与の非課税制度の特例』について紹介します。

これは、父母や祖父母などの直系尊属から、「結婚・出産・育児資金を一括で贈与」された場合、最高1,000万円まで贈与税が非課税になるという制度です。

手続きや流れは、以前このブログで紹介した「教育資金の一括贈与の非課税特例」(『贈与税の特例その(3)』https://success-a.com/blog/tax-system/124/をご参照下さい)同様です。

金融機関に子や孫名義の拠出口座を開設し、その金融機関を経由して、税務署に「非課税申告書」を提出することにより、贈与税が非課税になり、領収証などの支払った証明になる書類を、その金融機関に提出して、資金の払出しを受けます。

しかし、教育資金の一括贈与と異なる点、そして一番の注意点があります

子や孫の口座に資金を移して贈与した後、贈与した父母や祖父母が亡くなった場合、口座に残っているまだ使っていない残金は、亡くなった方の財産となり、相続税の対象になります

教育資金の一括贈与の場合は、贈与された時点で、子や孫のものになり、相続税が課されることはありません

これは要注意ですね~
教育資金の一括贈与制度と違い、この結婚資金等の一括贈与制度は『相続税対策』にはならないということです

【その他の要件】
〇贈与を受ける子や孫の年齢  20歳以上50歳未満
〇贈与の期間 平成27年4月1日~平成31年3月31日
〇贈与の目的 結婚資金・子育て資金
(例)挙式費用、新居の住居費、引越費用、不妊治療費、出産費用、産後ケア費用、子供の医療費、子供の保育費
〇非課税限度額 贈与を受ける子や孫一人につき 1,000万円(結婚関係費用は300万円まで
〇口座の契約終了事由 贈与を受ける子や孫が50歳に達した場合
〇契約終了時の残額 使い残しがあれば、その残金に贈与税が課税

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

にほんブログ村 士業ブログ 税理士へ
にほんブログ村


経理・会計・税金 ブログランキングへ

Pocket

106万円にも壁ができる!?

Pocket

 

こんにちは
サクセス会計 税理士の樋山博一です。

今回は、以前紹介した扶養関連の『壁シリーズ』の続編として、来月10月以降新たに現れる『106万円の壁』を紹介します。

まず、以前紹介した「3つの壁」をおさらいしておきます
詳細は、以前のブログを参照ください。

〇103万円の壁 https://success-a.com/blog/tax-system/136/
〇130万円の壁 https://success-a.com/blog/tax-system/146/
〇141万円の壁 https://success-a.com/blog/tax-system/153/

さて、今回新たに導入される『106万円の壁』ですが、この壁は、社会保険関連の壁になります

現在、パートやアルバイトなどの非正規労働者の方は、「1か月の所定労働日数」と「週の所定労働時間数」が、正社員の3/4以上の場合、その勤務先で社会保険に加入する義務があります

従って、通常週40時間勤務の会社がほとんどですので、その3/4以上、つまり『週30時間以上』勤務する場合に、勤務先で社会保険に加入しなければなりません

また、社会保険に加入している配偶者や親族の「扶養扱い」(年金保険料も健康保険料も払う義務がない状態)になるためには、年収が130万円未満であることが要件のため、勤務先での年収が130万円を超える場合にも、たとえ週30時間未満の勤務でも、勤務先でご自身が社会保険に加入する必要があります(130万円の壁)。

しかし、平成28年10月から、この規定が少し改正され、以下の全てにあてはまる場合、非正規労働者も社会保険に加入する義務が生じます

〇週の所定労働時間が20時間以上
〇年収106万円以上
〇月収88,000円以上
〇雇用期間1年以上

ただし、平成31年までの経過措置として、従業員数500名以下の法人については、適用されないことになっています

このように、『年収106万円』以上が、10月以降の社会保険上の扶養判定になるため、新たな『106万円の壁』となるわけです

ただ、この改正について、一面では、上記のような「扶養問題」になりますが、他方、今まで社会保険に加入できなかった、誰の扶養でもない、大多数の非正規労働者の方にとっては、厚生年金に加入でき、健康保険も含め会社が半額負担する「社会保険」に加入できるようになる
というメリットもあるわけです

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

にほんブログ村 士業ブログ 税理士へ
にほんブログ村


経理・会計・税金 ブログランキングへ

Pocket

年金収入と扶養控除

Pocket

 


こんにちは
サクセス会計 税理士の樋山博一です。

前回までは、103万や130万そして141万と、給与の収入金額と扶養の関係について紹介してきました。
今回は、これもお客様からよくご質問のある『年金収入と扶養控除』の関係について、ご紹介したいと思います。

今回も数字が2つ出てきます「108万」と「158万」です

この数字は、おじいちゃんやおばあちゃんの国民年金や厚生年金が、年間いくらまでなら所得税が課税されないか?そして扶養家族にできるか?の数字になります

ズバリ!
年末12月31日現在で、満65歳未満の方⇒108万  満65歳以上の方⇒158万になります。

この金額には、遺族年金の金額は含まなくて構いません。遺族年金は、もともと所得税が課税されません

給与のときは、年齢に関係なく103万円でしたね

ただし、この数字は、税金計算上の数字ですので、会社社会保険上の健康保険の扶養になれるかどうかの判定は、前々回にご紹介した130万円になりますので、注意してください

ですから、この金額以下の年金を受給している、おじいちゃんやおばあちゃんと同居していたり、仕送りなどで扶養している場合には、「扶養に入れる」ことができるわけです

ちょっとした節税になるかもしれませんので、ご自身に当てはめてみてください

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

にほんブログ村 士業ブログ 税理士へ
にほんブログ村


経理・会計・税金 ブログランキングへ

Pocket

141万円の最後の壁!

Pocket

 

こんにちは
サクセス会計 税理士の樋山博一です。

今回ご紹介する「扶養の壁」シリーズの最後『141万円の壁』は、前々回の「103万円の壁」に関連する壁で、所得税の『配偶者特別控除』を受けるための年収制限を表すものです。ですから、この壁のお話は、配偶者以外の扶養家族(お子様やお父様・お母様)については関係ありません。

今朝の朝刊によると、政府税制調査会において、「配偶者控除」の廃止と「夫婦控除」の創設が、いよいよ本格的に議論されるようです。

2018年度以降「配偶者控除」が廃止された場合、今回ご紹介する『配偶者特別控除』がどうなるかはまだ分かりません。

では、『配偶者特別控除』とは何でしょうか

「103万円の壁」にあった、今後廃止が検討されている「配偶所控除」とは違いますので、注意して下さい!!

「103万円の壁」でご説明しましたとおり、配偶者のパートやアルバイトの収入が103万円を超えますと、所得税計算上、配偶者控除は適用できません。これを俗に、「扶養にできない」「扶養に入れない」と呼んだりします。

しかし、他の扶養家族と違い、配偶者の場合のみ特別に、配偶者控除を適用できない(扶養にできない)場合でも、配偶者の年収に応じて、一定の控除が適用できる仕組みになっています。これを、『配偶者特別控除』と言います

具体的な控除額は、下記のようになっています。

≪配偶者特別控除≫
配偶者の給与収入     配偶者特別控除
103万円超  105万円未満   38万円
105万円以上110万円未満   36万円
110万円以上115万円未満   31万円
115万円以上120万円未満   26万円
120万円以上125万円未満   21万円
125万円以上130万円未満   16万円
130万円以上135万円未満   11万円
135万円以上140万円未満     6万円
140万円以上141万円未満      3万円

このように、配偶者の給与収入が141万円を超えると、控除額がゼロになる仕組みです。

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

にほんブログ村 士業ブログ 税理士へ
にほんブログ村


経理・会計・税金 ブログランキングへ

Pocket

そして130万円の壁!

Pocket

 

こんにちは
サクセス会計 税理士の樋山博一です。

今回は、前回の「103万円の壁」に引き続き、『130万円の壁』について解説したいと思います。

この130万円という年収制限は、税金上ではなく、社会保険(厚生年金と健康保険を指します)上の年収制限になるのですが、103万円を超えて税金計算上の扶養から外れれば、収入がいくらあっても一緒じゃないのと考えがちですが、実は、この130万円の壁の方が、家計への影響は大きくなりますので、注意してください

まず前提として、130万円の壁を意識しなければいけないのは、「社会保険の適用がある事業所で働くサラリーマンの夫(妻)と、同じく社会保険の適用がある事業所でパート勤めしている妻(夫)」のご夫婦です。

自分はパート勤めしているけれど、夫(妻)は自営業者ですというご夫婦は、関係ありませんので、税金計算上の103万円の壁だけを意識してください

前提にあてはまるご夫婦で、夫がサラリーマン、妻がパート勤めのご夫婦を例に取りますと、妻の年収が130万円未満の場合、妻は夫の扶養に入れますので、夫が会社から社会保険の天引きを受けるだけで、何の追加負担もなく、「妻の健康保険料はそこに含まれている」「妻の国民年金もそこに含まれている」状態になります

つまり、乱暴な言い方をすれば、妻は、タダで健康保険のサービスを受けることができ、かつ、払っていない国民年金を受け取れるというおいしい制度になっているのです

これが、妻の年収が130万円を超えると、妻自身が、パート勤務先の社会保険に個人で加入し、収入に応じた健康保険と厚生年金を負担することになります妻が扶養から外れても、夫の社会保険の負担が安くなるわけではなく、何も変わりません

ただし、この130万円という制限金額は、今後改正され、税金計算上の103万円に近くなっていく予定ですので、そのあたりも注視する必要があります

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

にほんブログ村 士業ブログ 税理士へ
にほんブログ村


経理・会計・税金 ブログランキングへ

Pocket