こんにちは(^-^)
サクセス会計 税理士の樋山博一です。
令和2年4月に消費税法の一部が改正され、令和2年10月1日以後に取得する『税抜1,000万円以上』の『居住用投資不動産建物』の取得については、消費税の控除や還付ができなくなります。
そもそも、居住用不動産の賃貸収入は「消費税が非課税」ですので、それに対応する居住用不動産建物にかかる消費税については、原則控除や還付を受けることが出来ません。
しかし、令和2年9月30日までの現行の消費税法においては、個人事業主や法人の事業者に、商品販売の売上や役務提供の売上、事業用不動産の賃貸収入など、居住用不動産の賃貸収入以外の「消費税の課税売上」が存在すれば、その収入にかかる消費税から、居住用不動産建物にかかる消費税を控除、あるいは還付を受けることが出来ました。
【例】ある事業主の年間取引(単位:万円)
〇商品売上 500/商品仕入 200
〇居住用賃貸収入 300/居住用賃貸建物取得 1,500
≪令和2年9月30日まで取得分の消費税計算≫
①預り消費税 500×10%=50
②仮払消費税 (200+1,500)×10%×500/500+300=106.25
③還付消費税 ①-②=△56.25
≪令和2年10月1日以降取得分の消費税計算≫
①預り消費税 500×10%=50
②仮払消費税 200×10%=20
③納付消費税 ①-②=30
このように、9月30日までの取得分では約56万円の消費税が還付されますが、10月1日以降の取得分については、逆に30万円の納付になります。
この改正は、居住用不動産への投資に際して、消費税の還付を受けるためだけに、少しだけ「金地金を売却」したり、「自動販売機を設置」したりすることによって「消費税の課税売上」を計上する事業者が多数いたためだと言われています。
この改正により、「消費税の課税売上」が多額に計上されている事業者であっても、1,000万円以上の賃貸用居住用建物にかかる消費税は、控除や還付の対象にならなくなりますので、注意が必要です。
経過措置として、令和2年3月31日までに締結した契約に基づいて、令和2年10月1日以後に引き渡しされる居住用賃貸建物については、改正前の消費税法が適用されますので、これらの制限は受けません。