こんにちは(^^)
サクセス会計 税理士の樋山博一です。
新聞報道などでご存知の方も多いと思いますが、来年度の税制改正大綱が、昨日発表されました。
税制改正大綱とは、政権与党が決める『税制改正の原案』で、来年これを基に国会審議がなされ、例年3月に「税制改正法案」が可決され、税制改正が正式に決定します。
ですから、まだ「案」であり、決まったわけではないのですが、現在の国会の状況を鑑みますと、良し悪しは別として、ほぼこの内容で決まります。
さて、その内容は多岐に渡りますので、おいおいご紹介するとして、今回大幅な改正になった「所得税」について、簡単に紹介しておきます。
以下は、いずれも2020年1月から改正の予定です。
①給与所得控除の改正
給与所得控除額を一律10万円減額し、年収850万円超は195万円が上限となります。
※給与所得控除の内容については、以前のブログ(https://success-a.com/blog/tax-system/528/)を参照してください。
②基礎控除の改正
基礎控除とは、所得の大小に関係なく、一律所得から控除して課税所得を減額するものです。現在一律38万円となっていますが、これが48万円となります。ただし、年間所得2,400万円超から段階的に縮小され、年間所得2,500万円超の方は、基礎控除がなくなります。
③公的年金等控除の改正
公的年金等控除額を一律10万円減額し、年間の年金収入が1,000万円を超える場合、1,955,000円の上限が設けられました。
※公的年金等控除の内容については、以前のブログ(https://success-a.com/blog/tax-system/532/)を参照してください。
④高額所得年金受給者への課税
年金を受給している方で、年金以外の所得が1,000万円超ある方については、さらに公的年金等控除額を10万円減額し、2,000万円超ある方については、20万円減額されることになります。
⑤青色申告特別控除額の改正
現在最大65万円の控除額が、55万円に10万円減額されます。その代わり、電子申告により申告した場合、10万円上乗せされることになります。
以上、全体的な印象としては、『高所得者増税』『公明党への配慮』、この2つに尽きると思います。
①を800万円超の給与所得者を対象にしたかった自民党が、公明党の要求を入れて850万円超にしたとのことで、これらの増税による財源が、これまた公明党の要求である、消費税増税時の「軽減税率」導入による税収減の一部に充てられるとのことです。
自民党としては、ここで公明党に貸しを作っておき、来年度以降の「憲法改正」議論を優位に進めたいとの思惑があるのではないでしょうか??
色々な意味で納得のいかない、今年度の税制改正大綱でした。